裁判傍聴メモ vol.006 (水)

★この記録は私的に公開するものであり、引用・転載禁止とする。
★著者は法曹界に身を置いたことが無いド素人のため、使用する語句に誤用のおそれ大。優しくご教示賜れば有難い。
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某月某日(水) 岡山地裁
1000-1030 203号 覚醒剤取締法違反 証拠調べ
 時間前に入廷すると既に裁判官着席。程なく0.1t(笑)は充分超えているであろうおデブりんが傍聴席に着いた後、開廷時刻直前に入ってきた傍聴人(おデブりんとは知り合いらしく何やら挨拶を交わしていた)が一番前の席でガラケーを触っていたところ、裁判官から強い口調で注意を受けたが、まさにその時自分もスマホを弄っていたのでドキッとして慌ててバッグに仕舞った(笑)。
 時間が来たが弁護士数分遅刻。到着してもパソコン起動と接続にモタモタ。その後、本番前に証拠動画を納めたSD?だかメモリースティック?だかを検察側に提出したが返して貰ってないイヤそれは返した(はず?)及び判事から証拠品数量は2個になっているが1個しかないイヤそれは2件の動画を1個にまとめたイヤそれは書類と整合性が無い云々~など形式的な事柄のやり取りにかなり時間を取られていた。まぁ厳密な公的文書にまつわる事だし、無駄じゃないんだろうけどネェ、と変な所に感心すると同時に弁護士の力量を疑う。
 裁判の内容は弁護側の証拠提示で、ガサ入れ時の様子をスマホで録画したものが2~3分、被告の自宅?の薄暗いリビング?(何でそんなところにカメラを設置してある?)を監視カメラで撮ったもの(被告人と傍聴席にいるおデブりん?が映っているのか?)が15分位で、起訴状や弁論書類あたりには記載があるんだろうけど、公判では何の説明もないので誰の何処に注目して観ればいいのかサッパリ分からず、無音の画面を延々と眺めるだけ。
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1040-1150 203号 器物損壊、窃盗未遂 証拠調べ
  引き続きこちらも延々と無音の画面を流すだけ。どうやら自動車盗が無理矢理鍵をこじ開けたものではないかと思われるが、何と一時間にわたり何処かの施設(時々画面を横切る歩行者が殆ど荷物を持っていないのと子供の姿がないのでパチンコ屋あたりか?)駐車場のほぼ2機の監視カメラ画像を、検察官がカメラNo.と時間を読み上げながら数分毎に交互、時には連続で流すのみ。
 前法廷と同じくどこが焦点かの説明もない(こちらも起訴状あたりには記載があるんだろな)ため、自動車の出入りと人影が横切る動きの度に、コレか?アレか?ドレだ?と根が続くのも精々15分位(笑)。後半度々襲ってくる睡魔に時折フッと意識を遠退かせながらも最後まで付き合ったが、結局観るべき画面がどれだったのかも不明なまま。音声無しの監視カメラ動画なので、法廷は静まり返ったまま。咳をするのも憚れるくらい(笑)。特に異常が無いことの証明みたいな苦行の一時間だった。
 次回公判は証拠動画確認が無ければ208号との事から、203号(100号に続き大きい)はモニターがあるので動画確認のための代用法廷(通常は他の判事がメインに使用しているので時間調整が必要との事)だと納得。
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1330-1515 100号 強盗、強制性交等(裁判員裁判) 審理
 入退廷時手錠・腰縄付き。
 100号法廷は通常、正面に向かって右側の出入口に近い方が被告・弁護側だが、今回は被害者立ち会い希望のため、右側が検察側。被害者の入退廷時はその検察側席全体を囲むような大衝立(開廷中は出入口近くの証人席近くの小衝立のみに片付けられる)が作られる。
 その他ノートを広げて熱心にメモを取る報道関係?ライター?がチラホラ居る模様。
 私にとって初の裁判員裁判の傍聴。裁判官は3人合議でTBVS-CB判事が左、右も女性判事。裁判員は補充も含め全部で8人。裁判官と同列に並んだ6人(男性×1、女性×5)が正規、後席の男性2人は補充裁判員か。
 予定表では終了1430と書いてあったが、被害女性や予定に無かった代理人弁護士の最終陳述、裁判員に理解がしやすいような書類の説明など盛り沢山で当り前のように延びた。1425一旦休憩、1440再開。各々のタイミングで被告は手錠・腰縄で入退廷を繰り返す。その度に職員が検察側証人席の大衝立のアコーディオンを伸ばしたり縮めたり。
 事件の内容は昨年9月上旬、**市**町の**寺前で夜中の1時頃、ポケモンGOをしていた若い女性が襲われ、レイプ・口内射精された上、財布ごと8000円を盗まれたというもの。
 被害者は事件後1年以上も対人恐怖・男性不信・PTSD(汚された自分はこの世に居ない方が良いのだろうか、とか)に苦しみながらも、被告が犯行を否定して争う姿勢を見せたことから、被害者支援団体のサポートを受けながら、裁判に全て参加しようと決意したとの事。前回?の証人尋問時は過呼吸などで証言の中断が有ったらしいが、今回の最終陳述では涙と鼻水で詰まり(裁判官が検事にティッシュを渡すよう促していたが、最初から用意しとけよ)ながらも最後まで心情を吐露していた。続いて予定に無かった弁護士の陳述もほぼ同内容なのは被害者陳述が滞った場合の補填?
 検察官と弁護士が関係者全員に配布した資料は、遠目からでもそれと分かるような色分け・内容の分類・箇条書きなど裁判員に分かりやすい工夫(通常の文字だけ、それも法律用語の羅列の文書では一般人には難解だろうし)がされていた模様。検察官が読み上げた論告求刑はその資料を用い、いつもと違ってユックリハッキリ説明していた。当然被告側弁護士の最終弁論も同様の資料と説明の仕方だった。
 それによるとこれまでの公判で争点になっていたのは次の通り。
 1.暴行自体の目撃者が居らず被害者の申告のみ。初めて他者に認識されたのが事後に近くのコンビニに駆け込んだ時で、証拠はその時の模様を記録した防犯カメラ動画だけであることから、弁護側は事件そのものが有ったかどうかも疑わしいからでっち上げの疑いがあること。また、たとえ暴行が事実だとしても、最初に首を絞められた時に被害者が被告人の腕の入れ墨に気づかないという不自然な点など、仕事上のトラブルを抱えていた被告を陥れるための別の真犯人が仕立て上げた冤罪だとの主張。
 2.口内射精されたことから採取した歯茎の附着物のDNA鑑定内容は、被害者と被告人のDNAの混合物であるというもので、権威ある鑑定学者の証言(書類のみだったのか証言台に立ったのかは不明)では、鑑定書にある数値は二人のものだという可能性が二人のものではないという可能性の3京(3×10^16)倍という(ヤヤコシイ言い回し)天文学的なものらしい。但しこれも弁護側に言わせると鑑定書があるのみで、被害者から採取した時の様子を記録した写真などもなく、別途入手したDNAを故意に混合したものを鑑定した可能性が無いわけではない、という事らしい。
 3.アリバイがあやふや。妻との電話やり取りのタイミングや、被告人の子を保育園に迎えに行った時間などから犯行は不可能と主張する弁護側に対し、保育園は現場から直線距離で1㎞と至近距離で不可能ではないと主張する検察側。
 求刑は懲役12年。弁護側主張は無罪。
 最後に被告人の最終陳述。裁判官から発言を促された被告人だが、証言台で何を言うかと思っていたら、起立して頭を10秒ほど下げ続けただけ、発言は無し。このパフォーマンスが効を奏するか?
 次回公判は年明け早々、判決言い渡しとのこと。
 傍聴していて思ったのは、被告人とは見ず知らずの被害者には落ち度がなく犯人が全面的に悪いとはいうものの、また安全だと言われている日本であるとしても、夜半過ぎに若い娘が独りで人気の無い場所で辺りを警戒することもなくスマホ画面に表示されるポケモンGOを見つめている姿など、さすがに無防備過ぎて…ねぇ、何だかなぁ。
 それと市内一の繁華街である**町付近には夜中も子供を預かる保育園があるのか?と素朴な疑問。ちなみに被告人は勾留後、妻に愛想つかされて離婚したとの事。
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1520-1530 204号(家裁) 離婚訴訟
 途中入廷。詳細不明。夫が原告で妻が被告。どちらも高齢で、夫は70代?妻は後ろ姿なのではっきり分からないが年寄り声。
 妻に対して被告側代理人が夫の母から受けた金銭的な援助の確認をしていた。
 別の裁判を見る時間が来たので早々に退出した。
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1530-1625 208号 過失運転致傷 道路交通法違反
 開廷後だったが入廷した時被告(小柄で終始俯き小声)を見て、アレ?顔に見覚えが? …でメモを探してみると前回 vol.005 1020 208号の続きだった。
 土木作業員である被告が仲間と風俗店帰りの午前1時過ぎ、*町近くの**川沿路で信号待ち中の原付に追突。そのまま停車中の前の車を追い抜き、横断中の歩行者や対面車両に当たらなかったものの危険と認識させる行為を行いながら帰宅。動転して気を落ち着かせるため冷蔵庫にあった缶酎ハイをイッキ飲み後、訪ねてきた警官にシラをきったとか。
 誰が聞いても飲酒がバレるのが嫌で逃げたとしか思えないが、証拠が無い。逃げ得としか思えないがしょうがなし。
 母親が証言台に立ったが、六十代にしては老け顔、七十代か?保釈金150万円を用意するのは大変だったと思わせられる。
 この事件で免許取り消しになるが、まだ運転を続けるつもりか未だに車を処分しないのは何故か?⇒娘にやるつもり、保釈中は実家(**町)に身を寄せて実母の監督下にあるが執行猶予になったときの身の置き場は ?⇒考えいない。などのやり取りあり。
 検察官も裁判官も飲酒の疑いを強く滲ませていたが証明できず。結局飲酒以外の公訴事実は争わず情状判断のみ。検察官は懲役8月求刑。弁護側は事実は争わず情状酌量を要求。その場で判決言い渡し。
 大昔に何かの前科があったようだがその後は更正していたとして「主文懲役8月に処する、この刑が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。訴訟費用は被告人負担とする」。
 交通裁判って短時間決着する原則があるのか?ちうか、ある意味こういったいわゆる事案毎のテンプレート判決が有るような感じ?
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1630-1650 208号 常習累犯窃盗 審理?
 入退廷時手錠・腰縄付き。
 「年寄り」と言う言葉がぴったりの被告人(年齢は…聞いたけど失念。え?その年齢で?と思った)。顔の生気が乏しく歩く姿も高齢者そのもの。刑務所に出たり入ったり人生の大半を塀の内側で暮らして来ただろう被告人にとっては、今回の裁判も人生の終末に向けての単なる通過点と言った感じ。
 あらかたの審理は前回までに済んでいるのか(または累犯だけあって証拠調べが多く時間切れで今回に持ち越しとなったとか?)、開廷後すぐに論告求刑(懲役3年?と思う)・最終弁論(認知症が疑われる点を重視)・被告人最終陳述後、次回判決言い渡しとなった。
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 初回vol.001の時は気が付かなかった(ちうか居たけど傍聴席まで気を配る余裕がなかったので眼に入らなかった?)が、vol.002~vol.005の連続4回、私と同様に傍聴席巡りをするオッサン(アラフィフ世代?チョッとオタクっぽい感じ(笑))がいたが、今回は姿が見えなかった。
 見たら見たで、ア、また居るわ私がランダムに来ても必ず姿を見る、ちうことはほぼ皆勤賞?好っきやなぁ、仕事何してるんやろ、なんて思っていたが、見なかったらアレ?居ない?今日はどうしたんだろ?なんてね(笑)。