裁判傍聴メモ vol.005 (月)

★この記録は私的に公開するものであり、引用・転載禁止とする。
★著者は法曹界に身を置いたことが無いド素人のため、使用する語句に誤用のおそれ大。優しくご教示賜れば有難い。
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某月某日(月) 岡山地裁
1000-1020 208号 窃盗 判決
 入廷時手錠・腰縄、退廷時なし。
 「主文、被告人を無罪とする」(…って、短い傍聴経験ではあるが初めて聞いたような気がする)。
 被告は高齢者、***市内のコンビニでマーボー丼を買った際、レジ横にあったイチゴ大福一個を掴みそのままレジ袋に入れた、及び焼酎一缶も万引きした、との内容。
 前頭葉ナンチャラ認知症患者で前回までの審理でも「覚えてない」「わからない」などと繰り返していたらしい。また以前からこのコンビニとのトラブルも度々有った模様。
 判決は目撃証言も防犯カメラの画像もなく、コンビニ店主の勘と状況証拠のみの点を突き、家宅捜索で見つかった焼酎の空き缶とイチゴ大福の空箱を万引きで手に入れたものと限定することはできない、と認定。
 最初に無罪の主文を読み上げた瞬間、二人出廷していた検察官が「まさか!?」てな顔をしてお互いに顔を見合わせ、苦笑しつつ落胆して小さく肩を落とした姿を私は見逃さなかった(笑)。これって検事としての経歴に影を落とすのかな?
 それにしても裁判官が約20分強にわたり判決文を読み上げたが、その間「イチゴ大福」の単語を30~40回(耳にタコが出来るくらい(笑))聞く。もちろん「てにをは」を変えてw。
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1020-1100 208号 過失運転致傷 道路交通法違反 新件審理
 **市の繁華街近くの路上で夜半過ぎ、信号待ちの原付に追突し、全治一週間の怪我を負わせながらそのまま逃走したもの。
 被告人は小柄で終始俯き、本人確認の際もマイクで辛うじて聞き取れるくらいか細い声。
 被告代理人の甲号証拠確認が不充分なため、実質審理は次回に持ち越し。
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1100-1150 100号 詐欺、無免許過失運転致傷 審理
 入退廷時手錠・腰縄付き。
 いわゆるオレオレ詐欺の受け子から金を受けとり次の役目に渡す役から始まり、その後はその金の一部を自分の手数料(11%)として抜き取れるまでになった。
 グループの重要な役目をしてした事から責任は重大として、求刑は禁固3年8月。
 弁護側は被告人の軽度の知的障害(他人の発言を上手く認識できない、理解できないまま安易に頷いてしまうなど)あり。先輩の言うがままにアッシーになっていただけ、また複数の証言も勘違いや偽証だとして無罪を主張した。
 無免許運転の方は詐欺途中に資格無しで自動二輪を運転したもの。こちらは被告も認めている。致傷と言うからには事故を起こしたのだろうけど、程度は軽い?論告でも弁論でも印象(記憶)に残るような内容ではなかった。
 100号法廷なので傍聴席は百席弱あるが、この裁判の傍聴人は何と私一人だけ。ちょっと居心地が悪いこと甚だしいw。
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1330-1400 100号 窃盗 冒頭陳述
 入退廷時手錠・腰縄付き。
 関東地方の出身で住所不定無職。前科前歴多数有り。
 他所から岡山に流れてきて警備会社でアルバイトしたが、勤務態度が悪く居づらくなったため、無断欠勤の上、会社の車を盗んで逃走し、隣県のパチンコ店で発見、逮捕されたもの。
 別件で他県でも起訴されているほか、別の県でも再逮捕予定の案件が2件あり、岡山で併合審理される見込みのため、一連の手続き待ちとして次回の公判期日を決められず閉廷。
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1400-1515 100号 過失運転致傷 冒頭陳述、判決
 **市の交差点で赤信号を見逃して40~50㎞で走行したまま、直前に急ブレーキを掛けたものの左側から来た車両の側面に衝突・横転させ、乗っていた3人に1ヶ月から3ヶ月(脛椎骨折?)の大怪我を負わせたもの。
 重傷・加療中の一人を除き、示談成立。物的賠償済み。免停1ヶ月を経てつい先日運転できるようになった。
 私と同年代の被告は実直・誠実そうで、事故さえなければこんな法廷とは一生縁がなさそうな人物。
 被告人質問の最後に裁判官質問で、被告が信号を見落とした際になぜ見落としたかはっきりとした原因が分からない、と回答していた事を突っ込まれ、例えば睡眠不足だったとか心配事があったとかならそれぞれ対処できようけど、原因が分からなかったら対策の立てようが無いですねぇ、とチクリ。
 その後、公訴事実に争いがなく、情状(その日に病院に謝りに行ったこと、示談が治療継続中の一人を除き成立していること、50年近くの運転歴で事故歴なし、スピード違反一回のみ)のみなのでそのまま判決。
 求刑は懲役(禁固だったかな?)1年2月、判決は懲役(?)1年2月、執行猶予3年。
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1515-1630 100号 常習累犯窃盗 冒頭陳述
 入退廷時手錠・腰縄付き。
 前科11犯、61歳。大阪刑務所を8日前に出所した時は所持金3万2千円(懲役報償金)で、まずは温泉に入りドン・キホーテで女性下着(!)と自分の衣類を買い、九州に行こうと岡山まで来たものの、所持金45円。
 しかしここで生きるための食料品ではなく、老舗デパート2階の婦人服売場でブラトッブほか女性用下着複数枚を万引きして現行犯逮捕。
 被告人質問の最後に裁判官から、また刑務所に入りたいか聞かれ、被告が入りたくないと答えると、どうしたら良いでしょうかね?と逆質問。出所後に新今宮みたいな繁華街に行ったら誘惑が沢山あるから駄目ですよね、とか諭されていた。
 それにしても過去11回の判決を受けた裁判所が、北は新潟から東は静岡、岐阜や京都、南は宮崎まで見事にバラバラ。本人は放浪癖が有ると答えていたが、フラフラと旅に出た先で万引きを繰り返している。それも何れも一万円以下の少額。茹で玉子一個で捕まったこともあるらしい。刑務所に戻りたくない、という建前だが、シャバの生活より檻の中の方が自分に合ってる、と言うのが本音なのかもね。
 それにしても朝8時から夕4時半まで作業して一日の報償金が百数十円。3年作業して3万2千円!? 安っ!とは思うものの、まあ不自由ながらも衣食住は保証されているし、小遣いとしては少額だけど無駄遣いもする必要ないからしょうがない、かな? 満期になってシャバに放り出される軍資金には少なすぎるけど。
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 1100からの裁判4件、何れもvol.003で言及したツーブロックベリーショート(TBVS)のクールビューティ(CB)***判事が担当だが、検察官(こちらは何かちょっと頼りなく見えるw)もずっと同一人物。何でもやるのね。
 そのTBVS-CB(笑)裁判官はイントネーションから関西出身であることがうかがえる。本人は気づかないのか、あるいは直す気がハナから無いのか(笑)。先日亡くなった和久俊三氏が書いた「赤かぶ検事」柊茂は名古屋弁(岐阜弁?)だったし、方言が滲み出る(九州だったら「●●ですもんね~」とか(笑))判事・検事・弁護士が居ても良いかも?創作と現実をゴッチャにするな?ってか(笑)。
 本日最後の法廷で、被告人を連れてきた年配の刑務官(しょっちゅう見かける)が審理中に大口開けてあくびを隠すことなく連発。思わず裁判そっちのけでその回数を数えたくなるくらいw。お疲れなのね(笑)。